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研究室

ご挨拶

東海大学医学部医学科 外科学系 整形外科学 准教授 酒井大輔

東海大学医学部医学科 外科学系
整形外科学 准教授
酒井大輔Daisuke Sakai

背骨の問題は人間が生まれたときから一生抱える問題です。重力に逆らって生活するため、背骨全体のバランスをいかに正常に保つかが課題なのです。

人類の多くが悩まされる腰痛の原因は多岐にわたりますが、主たる原因は背骨にある椎間板の変性によるものです。通常の加齢変化よりも早くに椎間板が変性してしまう患者さんに対して、その年齢にとって正常な状態に戻してあげたい、普通の生活を送らせてあげたいという思いから、椎間板に再生医療技術を用いる研究を進めてまいります。

日々の診療においては「この患者さんにはどういうことが起きているのだろう?」と腰痛になってしまった過程や背景を想像しながら、患者さんに寄り添うことを大切にしています。腰痛はいくつかの要因の集約的な症状であるため、総合的に診ることが重要なのです。

腰痛の予防・治療は超高齢化社会を迎えるにあたってますます需要が高まると予想されます。少しでも多くの患者さんの腰痛を改善することで、健康な状態で長生きできる社会や医療費削減につなげていきたいと思っています。

略歴

  • 1999年3月 東海大学医学部医学科卒業
  • 2005年3月 同大学大学院医学研究科博士課程修了
  • 2007年4月 同大学医学部外科学系整形外科学講師
  • 2012年4月より現職 専門は脊椎脊髄病学
  • 2012年には椎間板の加齢による変性の一因が幹細胞の消耗であることを発見し“Nature Communications”に掲載された。
  • 2013年4月 カリフォルニア大学サンディエゴ校およびレイディ小児病院留学
  • 2014年4月 東海大学医学部外科学系整形外科学准教授復職

学会活動

  • 日本整形外科学会 (国際委員会委員会委員、腰痛診療ガイドライン委員会委員)
  • 日本脊椎脊髄病学会評議員(国際委員会委員)
  • 日本腰痛学会評議員
  • 日本側弯症学会 (国際委員会委員長)
  • American Academy of Orthopaedic Surgeons / Orthopaedic Research Society: Member
  • International Society for the Study of Lumbar Spine: Active Member
  • North American Spine Society: Corresponding Member

研究メンバー

基礎医学系生体構造機能学准教授隅山 香織Kaori Suyama

特定研究員ジョルディ・ショールJordy Schol

整形外科学 准教授檜山 明彦Akihiko Hiyama

整形外科学 臨床助手迫 浩輔Kosuke Sako

大学院生宗定 大貴Daiki Munesada

大学院生
(順天堂大学からの国内留学生)
玉川 翔太Shota Tamagawa

サンティアゴ
海外留学生
ルイス・フェルナンデス・クララRUIZ FERNANDEZ CLARA

研究員・医師
海外留学医師
アンブロシオ・ルカAMBROSIO LUCA

大学院生小笠原 頌太Shota Ogasawara

研究員

  • 割田貴之
  • E,M
  • 相馬葉月
  • 川地麻美

所属研究員(実績)

  • 中井知子
  • 吉田亜矢子
  • 森田浩介
  • 平石駿介
  • 額賀唯至
  • 堀北夏未

研究室で取り組むその他の研究

椎間板変性におけるIL-17の役割の解析と新規IL-17活性阻害剤の探索

脊椎椎間板の変性は腰痛や下肢症状を伴う疾患の原因となり、社会生産性や患者さんのQOL(生活の質)を低下させ、医療費を増大させます。近年、変性した椎間板で増加して、変性を進行させるサイトカインの一つとしてIL-17の役割が注目されるようになりました。IL-17の活性を阻害することにより、椎間板の変性進行や疼痛の原因物質の産生が抑制される効果が期待できます。

しかし、既存のIL-17活性阻害剤は抗体を主成分とした生物学的製剤であり、重篤な副作用や高薬価が問題とされています。

本研究では、椎間板細胞におけるIL-17の作用機序を解明し、既存の薬剤の問題点を克服した新しいIL-17活性阻害薬と成り得る化合物の開発を目指しています。

①培養椎間板細胞にIL-17を投与し、その作用を解析する。

②ストレス因子を添加した培養椎間板細胞、及びラット椎間板変性モデルを作成しIL-17の発現を解析する。

③In silico解析を用いてIL-17活性阻害剤の候補となる化合物を探索する。そのIL-17活性阻害剤候補化合物を培養椎間板細胞とラット椎間板変性モデルに投与して、①②の結果と比較・検討し、候補化合物のIL-17活性阻害効果、薬理作用、薬理動態、細胞毒性を評価する。

脊柱変形、側弯症の成因探索と治療法開発
—椎間板組織と3次元動作の解析から−
(平成29年度東海大学医学部プロジェクト採択課題)

脊椎の疾患の一つとして、脊柱(背骨)が左右に弯曲してしまう側弯症という病気があります。側弯症は小学校高学年から中学校時代の女子に発症することが多く、弯曲が重篤になると心肺機能に異常をきたし、患者さんのADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を低下させるため、早期発見と治療がとても重要になります。

しかし、多くの思春期に発症する側弯症では、複数の要因が複雑に関連していると考えられているため、その原因を追求することが非常に難しいのです。

また、弯曲が進行して重篤となった場合の治療法は、手術という選択肢しか残されていないという現状があり、今後更なる側弯症の治療の研究が必要とされています。 当研究室では、理化学研究所および東海大学 体育学部の協力のもと、脊柱を構成する器官の一つである椎間板に着目し、患者さんの椎間板組織の状態や、3次元動作解析による力学的な要因を調べることにより、側弯症への統合的な解析アプローチから治療の研究を行っています。

この研究を進めていくことで、側弯症に対する新らしい根本的な治療法を探索する事を目的としています。

ノイロトロピンの髄核細胞における細胞外基質産生への影響

ノイロトロピンとは疼痛の治療薬として、日常の診療で広く使用されてきました。慢性化した痛みや、痛みそのものに対して過敏になっている、「痛みに対する感受性」を和らげる作用を持った薬剤といわれています。

当研究室では、ノイロトロピンを椎間板の髄核細胞の培養に添加し、その作用について調べています。

2016年以降、このノイロトロンピンは軟骨や椎間板の組織にとって非常に重要な細胞外基質(細胞と細胞のすき間を満たす物質)の生産にとって、良い効果があることがわかってきました。

現在そのメカニズムを解明すると同時に、効能の確認をするための実験を重ねています。

日本臓器製薬(株)より受託研究を行っています。

特許

特許10件(登録 4件、出願 2件)

名称 椎間板再生用懸濁液又は包埋物
特許番号 特許4036881 (2007.11.9)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 持田 讓治・酒井 大輔・野村 武・西村 和博・大熊 正彦・山本 至宏
名称 椎間板の状態に関する指標を得る方法、椎間板障害の治療または予防方法、および髄核細胞 集団のポテンシャルまたは品質の評価方法
特許番号 特許5863639 (2016.1.8)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井大輔・持田讓治・安藤潔・中村嘉彦
名称 髄核細胞マスターレギュレーター転写因子を含む分化誘導剤、誘導髄核細胞の製造方法、および誘導髄核細胞の用途
出願番号 特願2019-066535 (2019.3.29)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井大輔、ジョルディ ショール、平石駿介、升井伸治
名称 ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を含有するN‐アセチルガラクトサミン転移酵素発現促進剤
出願番号 特開2019-142802 (2019.8.29)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井大輔・中井知子・内木充・芝山洋二
名称 IL-17A活性阻害剤およびその利用
公開番号 WO/2019/163945 (2019.8.29)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井大輔・平山令明・隅山香織
名称 細胞集団の培養方法およびその利用
出願番号 PCT/JP2020/13307 (2020.3.25 国際出願)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井 大輔・ 中村 嘉彦 ・ 松下 枝利香
名称 軟骨由来Tie2陽性細胞を含む細胞集団の培養方法およびその利用
出願番号 特願2020-078504 (2020.4.27)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井 大輔・ 中村 嘉彦 ・ 松下 枝利香
名称 Tie2 陽性幹/前駆細胞を含む細胞集団の培養方法及びその利用
特許番号 特許6712740 (2020.6.4)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井 大輔・ 中村 嘉彦 ・ 松下 枝利香
名称 培養基材を用いたTie2陽性幹/前駆細胞を含む細胞集団の培養方法およびその利用
出願番号 PCT/JP2020/032302 (2020.8.27 国際出願)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井 大輔・ 中村 嘉彦 ・ 松下 枝利香
名称 Tie2 陽性幹/前駆細胞を含む細胞集団の培養方法及びその利用
特許番号 特許 6779492 (2020.10.16)
出願人 学校法人東海大学 共同
発明者 酒井 大輔・ 中村 嘉彦 ・ 松下 枝利香

研究室業績

  1. Schol J, Sakai D. Cell therapy for intervertebral disc herniation and degenerative disc disease: clinical trials. Int Orthop. 2018; doi: 10.1007/s00264-018-4223-1. https://link.springer.com/article/10.1007/s00264-018-4223-1
  2. Hiraishi S, Schol J, Sakai D, et al. Discogenic cell transplantation directly from a cryopreserved state in an induced intervertebral disc degeneration canine model. JOR Spine. 2018;doi.org/10.1002/jsp2.1013. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jsp2.1013
  3. Sakai D, Nakai T, Hiraishi S, et al. Upregulation of glycosaminoglycan synthesis by Neurotropin in nucleus pulposus cells via stimulation of chondroitin sulfate N-acetylgalactosaminyltransferase 1: A new approach to attenuation of intervertebral disc degeneration. PLoS One. 2018;13(8):e0202640. https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0202640
  4. Mohd Isa IL, Abbah SA, Kilcoyne M, Sakai D, et al. Implantation of hyaluronic acid hydrogel prevents the pain phenotype in a rat model of intervertebral disc injury. Sci Adv. 2018;4(4):eaaq0597. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5884685/
  5. akai D, Schol J, Foldager CB, Sato M, Watanabe M. Regenerative technologies to bed side: Evolving the regulatory framework. J Orthop Translat. 2017;9:1-7. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214031X1630287X?via%3Dihub
  6. Ishii T, Sakai D, Schol J, Nakai T, Suyama K, Watanabe M. Sciatic nerve regeneration by transplantation of in vitro differentiated nucleus pulposus progenitor cells. Regen Med. 2017;12(4):365-376. https://www.futuremedicine.com/doi/abs/10.2217/rme-2016-0168?journalCode=rme
  7. Sakai D, Schol J. Cell therapy for intervertebral disc repair: Clinical perspective. J Orthop Translat. 2017;9:8-18. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214031X16302881?via%3Dihub
  8. Nakamichi R, Ito Y, Inui M, Sakai D, et al. Mohawk promotes the maintenance and regeneration of the outer annulus fibrosus of intervertebral discs. Nat Commun. 2016;7:12503. https://www.nature.com/articles/ncomms12503
  9. Tekari A, Chan SC, Sakai D, Grad S, Gantenbein B. Angiopoietin-1 receptor Tie2 distinguishes multipotent differentiation capability in bovine coccygeal nucleus pulposus cells. Stem Cell Res Ther. 2016;7(1):75. https://stemcellres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13287-016-0337-9
  10. Sakai, D, Andersson, G.B.J. Stem cell therapy for intervertebral disc regeneration: Obstacles and solutions, Nature Reviews Rheumatology, 2015;11(4):243-256. https://www.nature.com/articles/nrrheum.2015.13

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アクセス

  • 小田急小田原線
    快速急行で新宿より約60分、急行で65分、
    小田原より約30分
  • 伊勢原駅下車 バス約10分
  • 南口より 4番のりば、東海大学病院整形外科行き「東海大学病院」下車
  • 北口より 2番のりば、東海大学病院整形外科経由愛甲石田行き「東海大学病院」下車
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