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腰痛でお悩みの方へ

腰痛の原因

治療の第一歩として、
まず腰痛について知ることが大切です

人間は生まれたときから重力に逆らいながら、いかにバランスをとっていくかを課せられています。近年では子どもが外で遊ぶ機会が減り、社会人になると毎日の電車通勤に座りっぱなしの業務といった行動のパターン化が進んでいるのが実情です。こうなると、とっさの動作のときでも自然に動く筋肉が衰えてしまい、腰痛を起こす患者さんが増えているように思います。

現代社会の腰痛患者数は約1,300万人(※)にものぼるといわれています。

腰痛はたくさんの要因がからまって起こることが多く、厚生労働省によると「8割以上の腰痛が原因不明」というデータもあります。しかし、複雑に絡みあった要因を個別に解いていけば治すことのできる腰痛もあるのです。我々は腰痛の原因は大きく3つに分けられると考えています。

※厚生労働省 平成28年度国民生活基礎調査調べ

人の一生と脊椎疾患

人間は生まれ落ちた瞬間から重力と戦っています。

生まれたての赤ちゃんの背骨は「C」の形ですが、歩くようになるにつれて「S」字を描くようになっていきます。
骨盤の上に頭が来るようになるために弯曲するのです。

6歳から17、18歳の思春期までが生理的に美しいS字カーブの背骨をつくる勝負のときです。

頭や胸郭を支えるには、内側・外側の筋力が協調して働かないと支えられません。
ですから、この時期にいかに体をバランスよく鍛えるかが、将来の腰痛予防に重要となるのです。

やがて年を重ねるにつれ、組織の加齢が始まります。骨粗しょう症となり、椎間板は傷み、つぶれてきます。
筋力も落ちて、前かがみの姿勢をとるようになると、腰痛を生じやすくなります。

このように背骨の問題は生まれたときから死ぬまで、二足で歩行する人類の宿命といえます。

我々の考える腰痛の3つの原因

1.機能的な問題

筋力や関節、椎間板、神経など各部において機能的な問題が生じて痛みを発生する場合があります。日常的にスポーツをしているのに腰が痛いといった例などです。外側の筋肉ばかりを使って内側の筋力を使えていなかったり、決まった筋肉しか使っていないことにより、使われていない筋肉が退化してしまうと、バランスよく体を支えられなくなります。たとえば平日はデスクワーク、週末は子どもの運動会で奮闘し、腰痛になってしまうお父さんなどもそうです。これらの痛みはリハビリによって対応できる腰痛の初期段階のものが多いです。

2.構造的な問題

骨にひびが入ってしまったり、関節がずれてしまったり、骨や関節、筋肉などの構造が損傷・劣化すると痛みが生じます。筋肉の構造が変化して起きるもの(肉離れ、ぎっくり腰)、椎間板が変性して起こるもの(椎間板ヘルニア、すべり症)、骨に腫瘍ができてしまったり、骨粗しょう症や神経の構造に問題が生じる場合もあります。たとえば椎間板ヘルニアの痛みは椎間板の内容物が外に飛び出してしまい、神経を圧迫するために起こります。こういった構造的な問題への対処は整形外科の得意とする分野です。

3.心理的な問題

ストレスやうつなど心因性の要因によって、腰痛が発生することがあります。痛みにより、気分が落ち込み、不安をあおられ、うつ病になり、腰痛を悪化させてしまうのです。触診やレントゲンでは異常がみられず、痛みを訴える患者さんは実際に多くいらっしゃいます。心の動きは体の機能低下や痛みに深く関わるため、精神科や心療内科による治療が必要となってくる場合もあります。最近では、心因性の痛みに対してどのような行動をとったらよいかを具体的に教えるような認知行動療法なども多く取り入れられています。

腰痛の原因となる疾患例

ようついへんせいしっかん腰椎変性疾患

腰は、腰椎というブロック状の骨が5つ繋がって構成されています。その骨と骨の間には、前側にクッションのような役割を持つ「椎間板」という水分を含んだ軟骨が挟まっており、後ろ側は椎間関節という関節が上と下の腰椎を連結しています。

腰椎変性疾患とは、骨や椎間板、椎間関節が加齢とともに変性、つまりすり減ってしまうことで起こる病気の総称です。変性は誰しもに起こることですが、人によっては通常の加齢より早いペースで腰痛が現れ、進行してしまうと神経を圧迫して症状が悪化してしまう人もいます。

腰椎変性疾患は骨や椎間板、椎間関節の変性を起点としてその周辺の組織にも悪影響を与え、多くの疾患を引き起こします。

腰椎変性疾患

ようついぶんりしょう・ようついぶんりすべりしょう腰椎分離症・
腰椎分離すべり症

腰椎分離症とは、10代の若い時に激しい運動によって繰り返し腰椎に負担がかかることで、腰椎の一部が疲労骨折してしまい、腰痛やお尻の痛みなどが起こる病気です。

骨折した腰椎がくっつかないまま放置をしてしまうと、今度は腰椎分離すべり症という病気になってしまうことがあります。本来支えとなる骨が骨折し不安定な状態が続くと、椎間板に通常よりも大きな負荷がかかり続けるため、変性が一般の人よりも早く起こってしまい腰痛などの症状が現れます。

分離すべり症

ようついついかんばんヘルニア腰椎椎間板ヘルニア

椎間板の中心には髄核と呼ばれるゼリー状の組織が入っています。

髄核は繊維輪と呼ばれる組織に囲まれて椎間板を形成しています。

その髄核が繊維輪を突き破って外に飛び出してしまい、神経を圧迫してしまうことで腰痛や足の痺れを引き起こす病気が椎間板ヘルニアです。

腰椎椎間板ヘルニア

ようついへんせいすべりしょう腰椎変性すべり症

椎間板が変性すると、支える能力が弱くなります。

車のタイヤを思い浮かべてください。タイヤは空気がしっかり入っている時はしっかりと車を支えますが、空気が少なくなりベコベコになると車を支えられなくなります。そのまま放置しておくと、車のあらゆる場所に負担がかかり、故障の原因になります。それと同じで、椎間板が変性を起こすとその部分がグラグラして安定しなくなり、次第に下の椎体からみて上の椎体が前方にスライドしてきてしまいます。

そうした原因で腰痛が現れたり、神経の通り道が狭くなり痺れなどの症状が現れます。

変性すべり症

せきちゅうかんきょうさくしょう脊柱管狭窄症

変性によって椎間板がすり減り潰れてしまうと、本来接することのない骨と骨が接触してしまい、骨が変性を起こし始めます。また、骨以外にも神経の周りを囲んでいる靭帯が変性を起こし、神経を圧迫するようになります。

こうして椎間板の変性から始まり、時間の経過とともにそれ以外の神経周りの組織が変性を起こすことによって神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫して腰痛や痺れを起こすのが狭窄症という病気です。

脊柱管狭窄症

腰痛に対する先端医療

人は年を重ねるにつれ、組織の加齢が始まりますが、中には正常な加齢変化よりも早期に変性が進行してしまい、
症状を発症してしまう患者さんがいます。

しかし、現在はまだそういった患者さんへの根本的な治療が無いのが実情なのです。

そこで、再生医療を用いて正常な組織の加齢速度に戻すことができれば、多くの脊椎疾患の罹患率を
減少できるのでは無いかと我々は考えました。

現在、我々の取り組む椎間板再生医療の研究は進み、実用化が見えるところまで来ています。

そんな新しい腰痛の治療法についてご説明します。

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